「火山地帯」第131号 表紙 韓国岳

「火山地帯」第131号

「火山地帯」一〇〇号 表紙絵に寄せて

   桜島との出会い

坂本正直

「火山地帯」一〇〇号の表紙絵に、桜島を描いてほしいと、島比呂志さんから、相談があったのは、九〇号がでたころであったろうか。私は、火山の代表的な山、桜島を表紙絵として描く構想をねることを始めた。
 桜島の山容を、鹿児島の街から見たのを描くのではなく、桜島の御岳の山頂、谷間、山襞を描きこむために、九二年の二月、宮崎から列車ででかけ姶良駅で下車、駅近くの踏切をとおり、鹿児島湾の海の方角への道を行った。その時、下校途中の小学生の男子二人が道案内をしてくれた。
 桜島がよく見える場所に早く着くため、重富でバスに乗った。桜島がよく見えだしたあたりで、適当なバス停を運転手にたのんだ。おりた所は、竜ヶ水大崎であった。
 桜島は、前の時よりもかすんで見えたが、雲間から陽がさすと、谷の強い形の変化、山の重なりぐあいが見えた。画面の構成上で必要なところを確認して写生した。また、カメラで記録をとった。
 桜島と私の出会いは、大正三年(一九一四)一月。大爆発で火山灰が西風にのり、宮崎にとんできた時、あかんぼうの私の頭に灰をかぶった話を何度か聞いた。小学六年の修学旅行は鹿児島で、桜島と対面している。桜島爆発の絵はがきを買ったのが記念品としてある。
 終戦のつぎの年の春、引揚船(駆逐艦)の甲板から噴煙をうすくあげている桜島を錦江湾でながめた。上陸した鹿児島の街は、焼け野が原となっていた。焼けぬけたビルで、親たちのことを心配しながら、引揚者として数日すごすことになった。
 桜島は静かにうすい噴煙をあげていた。

「火山地帯」一〇〇号(平成六年一〇月一日)

「火山地帯」第108号 表紙

「火山地帯」第108号 表紙

「火山地帯」第108号 第130号 第131号 表紙

「火山地帯」表紙




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